HEAVYDRUNKER
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◇はじまりの日
ひかり町ガイドブックより:
【近代遺産】
『光油田跡(こうゆでんあと)』
かつてひかり町のはずれには、光油田がありました。光油とは、ホタルシダなど太古の植物の残骸が、長い年月にわたり地下の熱と圧力によって圧縮され、生成されたもので、化石光板の材料となります。
産出量は極めて少なく、加工も難しかったため、当時光板は非常に貴重なものでした。
K博士の手により新製法の光板が量産化された五年後、ひかり光油田はひっそりと閉鎖されました。
かつての産油口を囲うかたちで建てられた小さな記念館は、今では数少ない化石光板のみで建てられた建物です。当時の写真や資料、貴重な光油のサンプルなどが展示されています。
休日には新光板を使ったアクセサリー作りや、裏山でホタルシダの化石を探すミニツアーなどが行われています。女性やお子様にもお薦めのスポットです。
【ものがたり】
『はじまりの日』
幼い頃のK博士は、よく両親の目を盗んでは家の屋根に登り、光板を使って建てられた近所の屋敷を眺めていた。夜間のことなので何度か転落し怪我をしたが、それでもやめようとはしなかった。自分でも不思議なほどの執着であったという。
ある日屋根に登ると先客がいた。白衣を着た背の高い青年で、光る液体を満たした、細長い瓶を持っていた。
K博士が戸惑っていると、青年が話しかけてきた。
「あれが好きかい」
青年の示した先には柔らかな光を発する屋敷があった。
「はい」
「どんなところが」
「光っていて、とても綺麗です」
いかにも子供らしい、シンプルな理由だったが、青年は満足そうに笑ったという。
「でも光板は、とても高いんです」
「そうだねぇ」
「あんな建物が沢山建てば、きっともっと綺麗なのに」
青年はふふ、と笑った。緊張の解けたK博士は、青年の持つ瓶を指差した。
「それは光油ですか」
「いいや、ちがう」
青年は、K博士の手のひらを上に向かせると、そっと瓶を傾けた。
「光油を使わずに光を圧縮する方法はいくつかある」
粘度を帯びた液体は、ゆっくりと美しい雫形をとると、そのままの形で固まり、K博士のてのひらに転がり落ちた。光板に似ているが、それよりも強い澄んだ光を放っている。
「君はいつか知ることになるだろう」
K博士は息をすることさえ忘れて、てのひらの塊にみとれた。数分後、ようやく顔を上げた時には、青年の姿はもうなかったという。
これが、K博士が光油に頼らない光板製法を研究するきっかけになった出来事であり、もっとも有名な源爺目撃談のひとつだ。
源爺の容姿に関しては、性別年齢共不詳であるという証言が多いが、中には博士の若い頃に似ているという人もいて、光板製造の研究過程において博士が一種のタイム・トラベルの方法をも発見したのではという珍説も生まれた。
いずれにせよ、K博士自身の口から詳しく語られたことはなく、すべては謎に包まれたままだ。
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【ガイド】【ものがたり】
『光板製造工場/革命前夜』
白縫いさやさん(ひかり町ガイドブック掲載)
【ガイド】
『源爺』
オギ
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ちからいっぱい遊んだ。いまさらだけど。
人様の話にどれだけ設定を盛る気だろうか。いまさら以下略。
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