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メビウスの帯

 放置されたグラウンドは至るところに草が生え、踏みしめればざりざりと粗い小石の感触がした。誰が持ち込んだのか、校舎の瓦礫が、あちこちに小さな山を作っている。須田は板を一枚拾い上げた。板と右足を引き摺りながら、そのままゆっくりと歩きだす。
 整地の終わりにトンボで大きな無限のマークを描くのが、うちの部の伝統だった。クロスする部分は細く、両脇はたっぷりと太く。意味わからんなと言いながら、きれいに描ければ気持ちよかった。
「誰がはじめたんやろな、あれ」 
 歩みのぎこちなさのままに歪みながら、細い帯がゆるゆると伸びていく。夕暮れの湿った風が、須田の白いシャツをはたはたと揺らす。
 瓦礫を避けながら、須田は奥まで歩いていく。無限のマークにはなりそうにない。
 足元に残された帯の端をそっと踏む。同じ時刻、同じ場所。当たり前のように繰り返されていた日常。
 ボールがあればいいなと思ったが、見当たらないので板を拾う。縫い目だらけの手が不器用にそれを掴むのを、他人事のように眺める。
「難儀やな」
 板を引きずり、須田の歩いた横を辿る。薄闇の向こうで須田が足を止め俺を見た。笑ったような気がする。

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2013.08.12 | Comments(0) | Trackback(-) | 500文字の心臓

歩く姿は





 去年何メートルあるんや、と驚いた百合(一枚目)が、今年はあちこちで変なとこから生えている……分かりにくいが三枚目は溝の縁だ。種で増えたのかな?
 植物って栽培しようとすると枯れたりするくせに、へんなとこ根性あるな。

2013.08.08 | Comments(0) | Trackback(-) | 日記もどき

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